「この教材ならできるかな?」と思って買ったドリルなのに、開いてみると子どもはなかなか手をつけない。
数字の練習をさせたかったのに、問題を見るだけで嫌がってしまう。でも、おもちゃの数字を並べる遊びなら楽しそうにしている。
そんな様子を見ると、「まだ難しかったのかな」「どんな教材を選べばいいんだろう」と迷いますよね。
発達がゆっくりなお子さんや、自閉症(ASD)・発達障害・知的障害のあるお子さんの教材を探していると、種類が多くて選ぶのもひと苦労です。
ただ、教材が合わなかったからといって、その内容をまだ学べないとは限りません。同じことを練習するにも、見せ方や取り組み方によって、子どもの反応が変わることがあります。
この記事では、家庭で使う教材を選ぶときに、どんなところを見ればよいのかを紹介します。
教材は年齢や学年だけで選ばなくていい
5歳だから5歳向けのドリル。小学生になったから、そろそろ足し算の練習。
教材のパッケージに書かれた対象年齢や学年は、選ぶときの目安になります。でも、発達がゆっくりなお子さんの場合、その表示だけでは合うかどうか分からないこともあります。
たとえば、小学2年生で足し算のプリントを嫌がる子がいたとします。
計算が難しいのかと思ったら、実際には数字を数えることはできても、数字だけの式になると意味がつかめないのかもしれません。
そんなときは、計算問題を増やすより、おはじきや積み木を使って「3個と2個で全部いくつ?」と確かめられる教材のほうが取り組みやすいでしょう。
大切なのは、何歳向けかよりも、今できることと、これから覚えたいことがつながっているかです。
ただし、内容を易しくすることと、見た目を幼くすることは別です。
小学生なら、幼児向けのキャラクターを嫌がることもあります。学習内容はやさしくても、本人の年齢や好みに合ったデザインを選べるといいですね。
自閉症・発達障害・知的障害がある子は、何を基準に選ぶ?
「自閉症の子向けの教材」「知的障害のある子におすすめの教材」といった言葉で探すこともありますよね。
もちろん、同じような困りごとを持つお子さん向けに作られた教材は、参考になります。
ただ、同じ診断名でも、得意なことや苦手なことは一人ひとり違います。
たとえば、こんな違いがあります。
- 言葉だけの説明では分かりにくい:写真やイラスト、実物を見ながら取り組める教材
- 文字を書くことに時間がかかる:指差しやカード選び、タッチ操作で答えられる教材
- 問題がたくさん並ぶと手が止まる:1問ずつ取り組めるプリントやアプリ
- 抽象的な数字や言葉が分かりにくい:具体物を動かしながら確かめられる教材
同じ「数字が苦手」という場合でも、数字を読むところで迷う子と、数字の意味を理解するところで迷う子では、必要な教材が違います。
反対に、診断名が違っていても、同じ教材が役立つこともあります。
教材を探すときは、障害名を手がかりにしながらも、普段の学習でどんな場面に困っているかを思い浮かべてみてください。
見た目の分かりやすさも教材選びの大切なポイント
かわいいイラストがたくさん入ったドリル。カラフルで楽しそうな教材。
大人から見ると魅力的でも、子どもによっては、どこを見ればいいのか分からなくなることがあります。
たとえば、数字を線で結ぶ問題。
数字の周りに動物や星がたくさん描かれていると、そちらが気になって問題に目が向かないこともあります。
一方で、好きな動物が描かれているからこそ、喜んで取り組む子もいます。
イラストが多い教材とシンプルな教材、どちらがよいかは子ども次第です。
選ぶときに見たいのは、次のようなところです。
- 何をする問題なのか、見ただけで分かりそうか
- 文字や数字の大きさは見やすいか
- 1ページの問題数が多すぎないか
- イラストや色が学習の助けになっているか
紙面だけでなく、問題の説明にも注目してみましょう。
「同じ形を見つけて丸をつけましょう」という長い説明を聞くより、最初に一つお手本を見せたほうが分かる子もいます。
教材そのものが分かりやすければ、隣で何度も説明する負担も減らせそうです。
スモールステップの教材は「次に進むと何が変わるか」を見る
発達がゆっくりなお子さんの教材を探すと、「スモールステップ」という言葉をよく見かけます。
これは、学習内容を小さな段階に分けて進める方法です。
ただ、1ページの問題数が少なければ、スモールステップになるわけではありません。
たとえば、数字の練習なら、
- 数字の形を見分ける
- 数字と同じ数のものを選ぶ
- 数字を見て、その数だけものを並べる
- 数字を書く
というように、少しずつ取り組む内容が変わっていく教材があります。
数字を読むのは得意でも、書くところで時間がかかる子なら、書く練習だけを別に考えることもできます。
教材を選ぶときは、次のページに進んだとき、一度に何が変わるのかを確認してみましょう。
「1から5までの数」を練習していたのに、次のページではいきなり「10までの数を使った足し算」になっている。これでは、一段が大きすぎる子もいるでしょう。
少しずつ内容が増えていく教材なら、どの段階から取り組めそうかも判断しやすくなります。
紙・おもちゃ・タブレット、どの教材がいい?
教材というとドリルやプリントを思い浮かべますが、パズルや積み木、カード、タブレットの学習アプリなども家庭学習に使えます。
どれが優れているかではなく、何を練習したいのかで選ぶと考えやすくなります。
実際に触って確かめたいなら、おもちゃや教具
「3と2を合わせると5」
数字だけではピンとこなくても、積み木を3個と2個並べれば、目の前に5個あることが分かります。
形の違いを知りたいなら型はめパズル。数を数えたいならおはじき。時計の仕組みを知りたいなら、針を動かせる学習時計。
実際にものを動かしながら考えられるのが、こうした教材のよさです。
シール貼りや洗濯ばさみを使った遊びなど、身近なものを教材にすることもできます。
書く練習や繰り返しには、プリントやドリル
ひらがなや数字の形を練習したいときには、紙の教材が便利です。
ただし、書くこと自体が負担になっている場合は、覚える練習まで嫌になってしまうことがあります。
たとえば、ひらがなを読めるようになってほしいなら、最初から何度も書かせる必要はありません。
文字カードを選んだり、同じ文字を探したりすることでも練習できます。
読むことと書くことを分けられると、教材の選択肢も増えます。
タブレット教材は、操作のしやすさも確認
紙のプリントには興味を示さなくても、タブレットの画面には喜んで触れる子がいます。
指で選ぶだけで答えられるアプリなら、鉛筆を持たずに数字や文字の学習に取り組めます。
間違えても消しゴムで消す必要がなく、すぐにやり直せるのも便利なところです。
一方で、音や動きが多いと、問題よりもアニメーションのほうに気持ちが向いてしまうこともあります。
タブレット教材を選ぶときは、楽しそうかどうかに加えて、子どもが何を学んでいるのかも見ておきたいですね。
買う前に、子どもの反応を少し見てみる
教材を買ったのに、ほとんど使わなかった。
そんなことがあると、次に買うのをためらってしまいますよね。特に、月額料金がかかる教材や高価な知育玩具は、できれば失敗を減らしたいものです。
そこで活用したいのが、無料サンプルや体験版です。
試すときは、正解できたかどうかだけでなく、取り組んでいる途中の様子も見てみましょう。
たとえば、こんなところです。
- 最初の問題で何をすればいいか分かるか
- 少し手伝えば、その先を自分で進められるか
- 難しくなったときに、どこで手が止まるか
- 終わったあと、また触りたがるか
最初から一人で全部できる教材でなくても、親子で取り組むうちに理解できるものなら、十分候補になります。
また、子どもの好きなものを教材に取り入れるのもよい方法ですが、それだけで選ぶと合わない場合もあります。
電車が好きな子に数字カードを用意したら、数字よりも車両の種類が気になってしまう。そんなことも考えられます。
「好きなものが出てくる」と「学びやすい」は、同じとは限らないんですね。
興味を持ってくれることはうれしいですが、実際に使ってみて、学びたい内容に取り組めているかも確かめたいところです。
もし合わなかったとしても、すぐに買い直すとは限りません。問題を一つずつ見せたり、書く代わりに選んで答えてもらったりと、使い方を変えられる教材もあります。
まとめ|子どもに合う教材は、使っている様子から見えてくる
教材を選ぶとき、対象年齢や人気ランキング、口コミは参考になります。でも、それだけでわが子に合うかどうかを判断するのは難しいものです。
教材選びは、最初から「ぴったりの一冊」を当てるというより、使ってみたときの反応を見ながら調整していくほうが現実的です。
まずは手元にあるプリントやおもちゃでも構いません。
どんな見せ方なら分かりやすそうか。書くより選ぶほうが取り組みやすいのか。一度に何問くらいなら続けられるのか。
使っているときの様子を見ると、次に選びたい教材の条件が少しずつ見えてきます。


