「また計算ミスしてるよ。ちゃんと見直した?」
そう声をかけたくなるけれど、間違えた式をよく見ると、いつも同じミスとは限りません。
数字を写すときに「25」が「35」になっている。
繰り上がった「1」を書き忘れている。
筆算の途中から、十の位と一の位がずれている。
どれも答えは間違いです。でも、間違えた場所が違えば、必要な練習も違います。
計算ミスが多いときは、正解した数だけを見るより、間違えた式の途中にヒントがあります。
この記事では、子どもの計算ミスを見ながら「どこで間違えたのか」を見つけ、家庭でどう練習につなげるかを考えていきます。
まずは「答え」ではなく途中を見てみる
宿題を丸つけしていると、どうしても最後の答えに目がいきます。
「68。正解」
「78。これは間違い」
でも、間違えた問題こそ、途中を少しさかのぼってみます。
たとえば「43+25」。
43と25を正しく書けているのに答えを間違えたのか。それとも、問題をノートに写した時点で数字が変わっていたのか。
同じ不正解でも、ここには大きな違いがあります。
「計算が苦手なのかな」と思っていたら、実は計算する前に間違えていた、ということもあります。
どこから違っている?
まずはそこを探します。
数字を写すところで間違えている
教科書には「43+25」と書いてあるのに、ノートを見ると「43+35」。
この場合、43+35を正しく計算できていたとしても、答えは合いません。
「計算をもっと練習しよう」と問題数を増やしても、数字を写すところで間違えているなら、同じことが起こりやすくなります。
こんなときは計算を始める前に、
「問題とノート、同じ数字になってる?」
と一度だけ見比べてみます。
数字を一つずつ指で追ったり、定規や紙を使って今見る行だけを出したりする方法もあります。
たくさん計算するより、計算を始める前の数秒が大事な子もいます。
繰り上がり・繰り下がりだけ抜けている
「28+17」で、
8+7=15までは合っている。
一の位には「5」と書けた。
ところが、十の位の答えが「3」になっている。
この場合は、足し算そのものが分かっていないというより、繰り上がった「1」が途中で抜けています。
筆算では、
「一の位を計算する」
「繰り上がりを書く」
「十の位を計算する」
と、いくつかの作業を順番に進めます。
頭の中だけで全部やろうとすると、その「1」がふっと消えてしまうことがあります。
繰り上がりの数字を小さく書く位置を決めたり、書いた「1」を指さしてから次の計算へ進んだりすると、何を忘れたのかが見えやすくなります。
引き算で繰り下がりを忘れる場合も同じです。
桁がずれているなら、計算より「書く位置」を見る
計算の仕方は合っているのに、筆算になると間違いが増える。
そんなときは、数字の並び方も見てみます。
72
- 38
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本来は一の位の「2」と「8」、十の位の「7」と「3」が縦に並びます。
ところが、ノートの数字が少しずつ横にずれていると、「どの数字とどの数字を計算するのか」が分かりにくくなります。
これは計算方法を何度説明しても直りにくいところです。
方眼ノートなら、一つのマスに数字を一つ入れてみます。
十の位と一の位の境目に縦線を引くだけで分かりやすくなる子もいます。
計算の練習というより、数字を置く場所を整える感じです。
暗算ではできるのに、筆算になると間違えることもある
「7+8は?」
と聞けば「15」とすぐ答えられる。
それなのに筆算では間違える。
こういう場合、「足し算が分かっていない」とは限りません。
筆算になると、問題を写して、桁をそろえて、計算して、繰り上がりを書いて、次の位へ進む必要があります。
やることが増えたところで、どこか一つが抜けている可能性があります。
一問を一緒に解きながら、
「ここでは何をした?」
「次は?」
と追ってみると、止まりやすい場所が見つかることがあります。
全部を説明し直すより、その一か所だけを練習したほうが分かりやすい場合もあります。
計算は合っているのに、答えを書くところで間違える
途中の筆算を見ると「34」と出ている。
ところが、解答欄には「43」と書いてある。
「せっかく合ってたのに!」と思いますよね。
でも、ここで計算ドリルをもう一枚増やしても、直したいのは計算ではありません。
答えを書き写すところで数字が入れ替わるなら、
計算する → 答えを見る → 解答欄に書く
という最後の部分を確認します。
プリントなら、筆算した場所と解答欄が離れていることもあります。視線を移したときに数字を取り違えているなら、途中の答えを指で押さえながら書く方法も使えます。
「見直して」だけでは、何を見ればいいか分からないこともある
計算が終わったあとに、
「ちゃんと見直してね」
と言うことがあります。
でも子どもからすると、「見直すって、どこを見るの?」となっていることもあります。
最初から全部もう一度計算するのは大変です。
その子に多いミスが分かってきたら、見るところを絞れます。
- 問題の数字を正しく写した?
- 繰り上がりの「1」はある?
- 一の位と十の位はそろっている?
- 筆算の答えと解答欄は同じ?
毎回この全部を確認する必要はありません。
たとえば繰り上がり忘れが続いているなら、「今日は小さい1だけ探そう」でいい。
「見直して」が、具体的な作業になります。
間違えた問題を消す前に、ちょっと待つ
子どもが間違えると、すぐ消しゴムで消して正しい答えを書きたくなります。
でも、消す前の式にはかなり情報があります。
どこまでは合っていたのか。
どの数字から変わったのか。
前の問題と同じところで間違えているのか。
そこを見ると、
「この計算ができない」
ではなく、
「繰り上がりを書くところで抜けやすい」
のように、練習したいところが具体的になります。
間違いは、ただの×ではありません。
どこで迷ったのかが残っている途中経過です。
計算ミスが多いとき、問題数を増やす前にできること
計算ミスが続くと、「もっと練習したほうがいいのかな」と考えます。
もちろん、繰り返しが必要な計算もあります。
ただ、10問解いて同じ場所で10回間違えているなら、11問目へ進む前に一度その場所を見たほうがよさそうです。
数字を写すところなら、写して確認する練習。
桁がずれるなら、方眼や補助線を使う。
繰り上がりが抜けるなら、「1」を書く動きを含めて数問だけ解く。
必要なのは、いつも計算問題を増やすこととは限りません。
まとめ|そのミス、どこで起きた?
計算プリントに×が並んでいると、全部まとめて「計算ミス」に見えます。
でも、一問ずつ途中を見ると違います。
数字を写したところで変わったのか。
計算の途中で繰り上がりが抜けたのか。
桁がずれたのか。
最後に答えを書き写すところで変わったのか。
次に間違いを見つけたら、すぐに消して直す前に、その式を少しだけ残してみてください。
「どこから答えが違っている?」
そこが見つかると、次に練習することも具体的になります。


