「このプリント、やりたくない」
まだ1問も解いていないのに、鉛筆を置いてしまう。
「一緒にやろう」と声をかけても嫌がるし、簡単そうな問題に変えてもなかなか始められない。
こんなとき、「もう少し頑張ってほしい」と思う一方で、どこまで手伝えばいいのか迷いますよね。
スモールステップ学習は、こうしたときにも使える考え方です。
難しいことをただ簡単にするのではなく、今の子どもが取り組める大きさまで、課題を細かく分けていきます。
「10問やる」は難しくても、「1問ならできる」かもしれません。
それでも難しければ、「問題を読む」「式を書く」「計算する」と分けることもできます。
では、どのくらい小さくすればいいのでしょうか。
家庭学習で使いやすいスモールステップの考え方を、具体例と一緒に見ていきます。
スモールステップ学習とは
スモールステップ学習とは、学習する内容や目標を小さな段階に分け、取り組みやすいところから少しずつ進めていく方法です。
たとえば、いきなり
「時計を読めるようになる」
を目標にすると、かなり大きな課題になります。
時計を読むには、
- 長い針と短い針を見分ける
- 短い針で「○時」が分かる
- 長い針が12なら「○時ちょうど」と分かる
- 「○時半」が分かる
- 5分刻みで読める
- 1分刻みで読める
など、いくつもの段階があるからです。
これを最初から全部まとめて練習するのではなく、今取り組めるところから一段ずつ進めていきます。
家庭で使うなら、
「これが難しいなら、もう少し小さくできないかな?」
くらいの捉え方でOKです。
「簡単な問題にする」だけがスモールステップではない
算数プリント10問を嫌がっているとき、
「じゃあ、簡単な問題にしよう」
と考えることがあります。
もちろん、それで取り組める子もいます。
でも、問題そのものは解けるのに、「10問ある」と分かった瞬間に嫌になっているなら、
10問やる
↓
3問やる
↓
1問だけやる
と、量を小さくする方法があります。
一方で、1問にしても手が止まるなら、
問題文を読む
↓
何を聞かれているか確認する
↓
式を考える
↓
計算する
と、一つの課題を途中で分けることもできます。
スモールステップは、「難易度を下げる」だけではありません。
今やろうとしていることを、途中の小さな作業に分ける方法でもあります。
どこまで小さくすればいい?
スモールステップというと、
「できるだけ細かくしたほうがいいの?」
と思うかもしれません。
細かければ細かいほどいいわけではありません。
目安になるのは、実際に取り組んでいる子どもの様子です。
たとえば漢字の宿題で、
「今日は『学校』を5回ずつ書こう」
と始めたのに、「学」を1回書いたところで手が止まったとします。
まずは「5回」を「1回」にしてみる。
それでも難しければ、
見本から同じ字を探す
↓
指でなぞる
↓
見ながら書く
↓
見ないで書く
という分け方もできます。
最初に決めたステップに、子どもを合わせる必要はありません。
やってみて大きければ、もう少し小さくする。すんなりできるなら、次へ進む。
「取り組める大きさ」は、実際にやってみながら調整していきます。
家庭では「量」と「やること」を分けて考える
家庭学習でスモールステップを作るときは、まずこの2つを考えると分けやすくなります。
量を小さくする
いちばん取り入れやすい方法です。
プリント1枚なら半分。
漢字10個なら3個。
音読を全部読むのが難しければ、最初の段落まで。
内容そのものは変えず、「ここまでやる」を小さくします。
ただ、1問にしても始められないなら、量を減らし続けても解決しないことがあります。
そんなときは、もう一つの分け方を使います。
やることを小さく分ける
たとえば「文章題を解く」も、よく見ると一つの作業ではありません。
文章を読む。
数字を見つける。
何算か考える。
式を書く。
計算する。
答えを書く。
「文章題を1問」という単位がまだ大きければ、この途中で区切れます。
「1問」「1文字」と数だけを減らすのではなく、その中で何をしているのかまで分けてみると、スモールステップを作りやすくなります。
小さくしても難しいときは、手助けを足す
課題を小さく分けても、一人ではまだ難しいことがあります。
そんなときは、
- 見本を置く
- 最初だけ一緒にやる
- 選択肢を少なくする
- 最初のヒントだけ出す
など、必要なところに手助けを足します。
たとえば「7+8」で止まったら、
「7に、あといくつで10?」
と聞く。
「3」と答えられたら、その続きは自分で考えられるかもしれません。
ここで大切なのは、スモールステップそのものと手助けを分けて考えることです。
課題を小さくすることと、その課題に取り組むための手助けをすることは、同じではありません。
小さく分けるだけで取り組めるのか、それとも少し手助けが必要なのか。
子どもの様子に合わせて組み合わせます。
できるようになったら、手助けを少しずつ減らす
手助けがあるとできるようになったら、ずっと同じように手伝い続ける必要はありません。
いつも最初から一緒にやっていた問題を、今日は1問目だけ一緒にやる。
見本を見ながら書いていた漢字を、最後の1文字だけ見本なしで書いてみる。
そんなふうに、必要だった手助けを少しずつ減らしていきます。
課題の大きさも同じです。
1問なら取り組めるようになったら2問へ。
2問できるようになったら、次は3問へ。
最初から決めた階段を上らせるというより、子どもの様子を見ながら、次に取り組む大きさを調整していくイメージです。
「簡単すぎる?」くらいから始めても意味がある
親から見ると、
「そこはもうできるんだけどな」
と思うところから始めることもあります。
でも、すぐできるところなら、そこに長くとどまる必要はありません。
できたら次へ。
そこもできたら、もう一つ次へ。
そして、「ここから急に難しそう」というところが出てきたら、その一段を小さくします。
スモールステップは、何でも細かくしてゆっくり進む方法ではありません。
大きすぎる一段だけを、上がれる高さに作り直す方法です。
次の家庭学習で手が止まったら、
「これ、もう一つ小さくするとしたら?」
と考えてみる。
10問を1問にするのか。
1問の中を分けるのか。
それだけでも、始められる大きさが見つかることがあります。


