「長い針が“分”で、短い針が“時”だよ」
そう教えた直後なのに、
「こっちが時間だっけ?」
と、また迷ってしまう。
何度も同じことを伝えていると、「長い・短いだけなのに、どうして覚えられないんだろう?」と思いますよね。
でも、時計を読むとき、子どもは針の長さだけを見ているわけではありません。
どちらの針を見るのかを決めて、数字を見て、その数字を「時」と読むのか「分」と読むのかを考える。さらに分を読むときには、「1」を「5分」、「2」を「10分」と読み替えます。
こうして分けてみると、時計って意外と忙しいんです。
長針と短針で迷っているように見えても、つまずいている場所は子どもによって違います。
まずは「長い針と短い針、どっち?」を何度も覚えるところから少し離れて、どこで手が止まっているのかを見てみましょう。
長針と短針、どこでわからなくなっている?
たとえば「3時」の時計を見せたとき。
「短い針はどっち?」と聞くと、すぐ指させる。
ところが「何時?」と聞くと答えられない。
この場合、長針と短針の見分けではなく、「短い針が指している数字を時として読む」ところで迷っているのかもしれません。
反対に、「3時」は読めるのに「3時30分」になると急に止まることもあります。
時計が読めないとひとまとめにせず、少しだけ問題を小さくしてみると、練習する場所が見つけやすくなります。
同じ「1」が、1時にも5分にもなる
時計の数字には、ちょっとややこしいところがあります。
短い針が「1」を指していれば「1時」。
ところが長い針が同じ「1」を指していると「5分」です。
「ここに1って書いてあるのに、なんで5なの?」
子どもからすると、こちらのほうが自然な疑問かもしれません。
「数字の1を読めること」と「時計の1を5分として読めること」は別です。
長針と短針は見分けられているのに分が読めないなら、針の名前ではなく、この読み替えで止まっていないか見てみます。
「長い・短い」で混ざるなら、役割で呼んでみる
「長い針が分、短い針が時」
何度伝えても、次に時計を見ると、
「長いほうが時間だっけ?」
と迷ってしまう。
そんなときは、長さで覚えるのをいったんやめて、
「じの針はどっち?」
と聞いてみます。
短い針は「じの針」、長い針は「ふんの針」。
練習するときだけ、こんなふうに役割で呼んでみます。
「短い針だったかな、長い針だったかな」と思い出してから読むより、「じの針が3だから3時」と、そのまま読めるようにするためです。
家の時計では2本の針が見分けにくい場合は、練習するときだけ「じの針」と「ふんの針」を色分けしておくと、どちらを見るのか分かりやすくなります。
まずは長い針を12に置いてみる
時計を練習しようとすると、つい「7時15分」「8時40分」といろいろな時刻を読ませたくなります。
でも、長針と短針がまだ混ざっているなら、いったん長い針を12に固定します。
たとえば、
「じの針が3。だから3時」
「じの針が7。だから7時」
ここでは「じの針」だけを読みます。
長い針がいつも12なら、見るところがひとつになります。
「○時」が迷わず読めるようになってきたら、今度は長い針を動かしてみます。
長い針の「4」を「20分」と読める?
長い針と短い針は見分けられる。「じの針」も読める。
それなのに、3時20分の時計を見せると、
「3時4分?」
と答える。
ここで迷っているのは、2本の針の見分けではなさそうです。
時計では、長い針が指している数字をそのまま読むのではなく、
1なら5分
2なら10分
3なら15分
4なら20分
と、5ずつ増やして読みます。
まずは「何時何分」まで読まず、長い針だけを使います。
長い針を1に置いて、
「ここは5分」
次は2へ動かして、
「10分」
3なら15分、4なら20分。
最初は「5、10、15、20」と一緒に声に出しながら、長い針をひとつずつ進めます。
4まで分かってきたら、今度は順番ではなく、長い針を2や4に動かして、
「何分?」
と聞いてみます。
ここで「4分」と答えるなら、まだ文字盤の「4」と「20分」が結びついている途中です。
慣れるまでは、文字盤の外側に、
「5・10・15・20・25・30……」
と分が書いてある時計を使います。
長い針が4を指したら、その外側にある「20」を見る。
最初から頭の中だけで5ずつ数えなくても、見ながら「20分」と読めれば、そこから始められます。
20分まで迷わなくなったら、25分、30分へ。
30分まで読めたら、その先も同じように長い針をひとつずつ動かして、35分、40分、45分、50分、55分と進めます。
途中で止まったら、また「5、10、15……」と一緒に数えます。
55まで一通り読めるようになったら、長い針を好きな数字へ動かして、
「何分?」
と聞いてみます。
順番なら言えるのに、突然「8」を指すと止まるなら、「5、10、15……」という並びは覚えていても、文字盤の8を見てすぐ40分とは読めていないことが分かります。
それでも「5、10、15……」のところで止まるなら、時計から少し離れて、5ずつ数えるところだけを取り出します。
長い針を一周させると、短い針はどうなる?
「○時」も「○分」も、それぞれなら読める。
次に見ておきたいのが、2本の針の動きです。
針を動かせる時計で、長い針を少しずつ進めて一周させます。
そのとき、短い針にも目を向けてみます。
長い針が12まで戻るころには、短い針は次の数字へ進んでいます。
「長い針が一周すると、じの針が次に進むんだね」
長い針だけをぐるぐる回して、短い針には目が向いていないなら、2本の針の動きがまだ別々に見えているのかもしれません。
自分で針を動かしながら見ると、「分が進むと、時の針も少しずつ動く」という関係が見えてきます。
昨日は読めたのに、今日は迷うこともある
昨日は「7時!」とすぐ答えたのに、今日は同じような時計を見て黙ってしまう。
そんなこともあります。
時計は、針を見分ける、数字を読む、時と分を切り替える、5ずつ数えるなど、いくつものことを組み合わせて読むものです。
ひとつずつならできても、全部を一緒にすると急に難しくなることがあります。
そんな日は、時計を最初からやり直す必要はありません。
「じの針は分かる?」
「じゃあ、長い針が4なら何分?」
と見ていくと、昨日と今日はどこが違うのかが見つかることもあります。
まとめ
時計を見て答えられないと、つい「まだ時計が読めない」とひとまとめにしてしまいます。
けれど、よく見てみると、
「短い針は分かる」
「○時も読める」
「でも、長い針の4を20分とは読めない」
というところまで来ていることがあります。
それなら、練習するのは時計全部ではなく、その「4と20分」のところです。
昨日と同じ問題ができるかどうかだけではなく、どこまでは迷わず読めているか。
そこが見えてくると、次に一緒にやることも、ずっと小さくなります。


